ちょうど日本列島がバブルの真っ只中で盛り上がっていた頃、それまで殆ど日本のクルマ界には存在しなかった高級パーソナルクーペという範疇のクルマを、モーターショウ出品での感触に自信を得てトヨタは思い切って打ち出しました。トヨタ・ソアラの誕生です。
このクルマ、当時の上げ潮ムードの日本経済の上昇ぶりに乗っかるように人気を得ていきました。特に3ナンバーサイズにボディを拡大された2代目(Z20型・1986〜1991年)は、「ハイソカー」のニックネームと共に、高級デートカーとして、ホンダ・プレリュードなどと共に、まさに一世を風靡するように街にその姿があふれていたのを覚えています。
何でこのような昔話(苦笑)を突然思い出したかというと、先日、たまたま現行型(Z40型)の「ソアラ」を見かけたからです。
かの2代目・Z20型ソアラは、3ナンバーにはなったものの、日本の貧弱な道路状況を考慮したのか(クラウンもそうですが)、妙に縦に細長いフォルムで、全体的にバランスを欠くデザインであったにも関わらず(高級クーペを名乗るのなら、スタイルの良さは絶対条件ですよね)、その背後に何かしらオーラのようなものを感じたのは僕だけではありますまい(笑)。
しかし、この写真の「ソアラ」、上品なたたずまいは大いに評価できるんですが、やはり、ちょっと影が薄いなぁ。売れてないですもんね、全然。ま、このような高級パーソナルクーペは、やたらと街で見かけるようになると逆に鼻についてしまうので、1年に数回見かけたというぐらいがちょうどいいのかもしれませんが(苦笑)。
この後部からの写真では分かり辛いですが、エンブレムが「ソアラ」になっています。もうお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、この「現行(Z40型)ソアラ」、2001年に市販開始された後、2005年からは新しく設立された「レクサス」ブランドに移行し、モデル名もレクサス・SC430としてマイナーチェンジされて販売開始され、今に至っているのです。
つまり、今は「ソアラ」という名前は現行生産型としては消滅してしまった訳です。
写真のクルマのエンブレムがレクサスブランドの「SC430」だったら、僕は一瞥しただけでその場を立ち去ったと思いますが、このクルマのエンブレム「ソアラ」が、僕の足を引き止めました。
このような高級パーソナルクーペが僕の生活とは程遠い存在であることは事実ですが、僕の脳裏には20年前にクルマ界を席捲したソアラという名前が、深く記憶に刻まれているのです。
日本での大成功に気をよくしたトヨタは、このソアラを北米市場でも売り込むべく、3代目(Z30型)からはデザインなどを一新し、アメリカ人好みのボリューム感のあるスタイルに変わると共に、シャシーやエンジンは、これまた当時、その完成度の素晴らしさに世界が舌を巻いたセルシオのものと共通化しています。その他にも、上級グレードにアクティブサスペンションを設定するなど、意欲にあふれたクルマとなりました。
そして、現行の4代目(Z40型)では、更にパーソナル感を高めるため、バリオルーフ(電動格納式ハードトップ)を備えた2ドアコンバーチブルに姿を変えました。でも、写真のように、ハードトップを上げた姿はどう見ても2ドアクーペですよね(笑)。
ボディも更に大きく、全幅1825mm、全長4515mmと、セルシオに匹敵する堂々たる体躯となりました。何でも2人乗りとすると北米では保険が非常に高価になるため、4人乗りにしたそうな。
写真でもご覧の通り、見た目はこのクルマ、結構コンパクトに見えるんですが(苦笑)。
トヨタが渾身の力を振り絞って開発した3〜4代目、さすがに北米ではそこそこは売れたそうですが、日本では鳴かず飛ばず。
特に、コンバーチブルというボディタイプは、湿度の高い日本ではなかなか受け入れられないのか、それとも、北米向きのボリューム感あふれるスタイルが日本のユーザーは苦手なのか、とにかく、国内ではこのクルマ、殆ど希少車並みに姿を見ることができずにいます。
現行のレクサスSC430は、近い将来、モデルチェンジとなるどうですが、日本国内では壊滅状態(苦笑)のこのクルマをどう変えるのか、またはキープコンセプトで、あまり方針を変えずに新型に移行するのか? 今日日の米国の経済状況の著しい悪化は、このテの高級パーソナルカーの売れ行きにはっきりと赤信号が灯ったことを意味します。ま、日本も誉められた状況ではないことだけは確かですが・・・。
世の中が不況であれどうであれ、数の増減はあるものの、真の高級車需要はいつの世にも存在するものです。貧乏人が巷に溢れかえっても、お金持ちという種族が「絶滅」することは有り得ないのです(僕のような庶民には認めたくはない事実ですが)。
そのことを、トヨタは認識しているか否か。セルシオで世界の目を引き付けたほどのてこ入れを施さない限り、レクサスSC430(旧ソアラ)に未来は無いように思います。





